日本医療政策機構と認知症未来共創ハブは共催で2020年10月より「認知症条例比較研究会」を開催してまいりました。本日、本研究会の中間報告書・政策提言「住民主体の認知症政策を実現する認知症条例へ向けて」を公表いたしました。
本研究会では、まず条例に対する考え方を議論し、それらに基づき比較項目の設定を行いました。本中間報告書では、その比較項目に基づいた比較結果をご紹介するほか、今後の認知症関連条例に必要な要素を提言しています。
▶︎リーフレット「政策提言の概要と本研究会における条例の比較項目」
▶︎中間報告書・政策提言書「住民主体の認知症政策を実現する認知症条例へ向けて」本文
(現時点では日本語版のみ)
以下、政策提言の概要を記載します。
<政策提言>「これからの認知症条例の方向性」
1.地方自治体・地方議会に対し、望むこと
①全体を貫く理念や定義に関する項目
・条例の理念や制定目的について制定プロセスを通じて合意形成し、明確にすべき
・認知症予防については、最新のエビデンスに基づいた正確な記述をすべき
・条例において定義すべき用語とその定義は、制定プロセスを通じて議論し決定すべき
②条例制定前・制定後プロセスに関する項目
・検討委員会等を設置し、下記の該当者を参加させるべき
当該自治体に暮らす認知症のご本人
当該自治体に暮らす(もしくは活動する)家族・ケアラー
当該自治体で事業を展開する複数種類の民間事業者代表者
住民・地域組織の代表者
医療介護福祉関係者の代表者
・検討委員会等以外にもワークショップやパブリックコメント等で住民の声を広く集め、その声をどう受け止めたか結果を開示すべき
・検討委員会等の名簿や議事録、資料をwebサイト等アクセスしやすい形で開示すべき
・条例制定後は当該自治体の認知症施策に関する情報と共に住民が理解しやすい形でwebサイトや広報誌等に掲載し、周知すべき
③条例本体に関する項目
・認知症のご本人の尊厳や権利の保障、社会参加等に言及すべき
・家族やケアラーの尊厳や権利の保障、支援に言及すべき
・民間事業者の役割に、認知症の人の雇用および介護者への配慮を位置づけるべき
・地域住民によるインフォーマル活動の推進と行政によるサポートに言及すべき
・「財政上の措置を講ずる」ことに言及すべき
・具体的な施策もしくは行政計画の策定に言及すべき
・認知症施策の推進・評価の場の設置に言及すべき
2.住民・国・民間企業などの関係者に対し、望むこと
①住民に対して
・公開情報を基に条例案について考え、意見表明の場への積極的な参加を
②民間事業者に対して
・認知症の人や家族・ケアラーとの関わりを通じた気づきの積極的な発信を
③国に対して
・地方自治体の取り組みについて好事例の収集と情報共有による支援を行うべき
・最新の研究に基づくエビデンスの提供を積極的に行うべき