となりのおた助くん

認知症のあるおじいちゃんとの暮らしの中での「ちょっと困った」をスマホやITサービスの力を借りて解決するお助け連載。みなさんも一緒に身近なデジタルツールを活用して日々の小さな手間を減らしていきませんか。

vol. 5

おじいちゃんお薬の時間だよ〜!

アラームで毎日の習慣をお知らせ

はじめに

この連載では、認知症のあるおじいちゃんの周りでおこる日々の“ちょっとした困りごと”を、物知りおた助くんがデジタルツールを困っている人に紹介して解決していきます。デジタルツールというとなんだか馴染みが無く敬遠してしまうという人も大丈夫、あなたが毎日使っているスマホもその一つです。特別なものや知識は必要ありません。認知症のある方、また関わるご家族、支援者の方、地域の人たちの暮らしがほんの少しでも便利になるような連載を目指していきます。

今回の登場人物

  • おた助くん

    おた助くん

    学くんの同級生で、スマホ、パソコンなど最新の技術に詳しい高校生。

  • 学くん

    学くん

    なんでもチャレンジしてみる高校生。認知症のあるおじいちゃんと暮らしている。

  • おじいちゃん

    おじいちゃん

    元自動車会社勤務。学くんと一緒に新しいものにもチャレンジする。周りの人に頼るのが上手な、孫思いの優しいおじいちゃん。

学くん
学くん

おた助くん、前回ちらっと言っていたiPhoneの時計アプリにあるアラーム機能について教えてくれるかな。

おた助
おた助

今回は教えるまでも無いかもしれないくらい簡単だよ。学くんはこのアラーム機能使ったことあるかな?

学くん
学くん

もちろんあるよ!毎日朝起きるときはこれで起きてるよ。学校があっても部活や補修、休みの日によって起きる時間が違うからアラームが無限に増えていってるけど…

おじいちゃん
おじいちゃん

わしは、薬の時間を忘れないようにアラームをかけているんだけど、そのアラームが鳴った時にそれが一体なんのアラームだったか思い出せない時がよくあってね。折角セットしたのに…

おた助
おた助

あれ、学くんのおじいちゃん!こんにちは。アラームってかける時は覚えているけど鳴った時って大体忘れてしまうことよくありますよね。

学くん
学くん

僕もわかるな~。でも、一体今回はどうやってアラームを使うの?

おた助
おた助

実はね、このアラーム、それぞれ設定した時間に名前がつけられるんだ。そこにたとえば「薬の時間だよ」などのメッセージを入れておけばアラームが鳴るとともにそれがiPhoneのホーム画面に表示されるんだよ。そうすれば、前回学くんが気にしていた「血圧を測る時間」や「夕食の時間」とか色々と設定してスマートフォンでお知らせしてもらうようにすればいいんだよ。

学くん
学くん

そうなんだ!しかもアラームは自分で止めるまで鳴り続けるから絶対手に取るもんね。そこで画面を見てもらえたら何をすればいいかわかるからとてもいいね。

おじいちゃん
おじいちゃん

なるほど、アラームに名前。それはいいね!前回教えてもらったリマインくんもいいが、通知に気付け無い時もあるからぜひアラームも使っていきたいね。

おた助
おた助

じゃあ今回もみんなで勉強していきましょう!

アラームとは

iPhoneに最初から入っている時計アプリの1つの機能で、設定した時間にスマートフォンが鳴りお知らせしてくれるものです。このアラームは何個でも自分の好きな時間に設定ができます。また、知らせる時間を指定の曜日に繰り返すことや、ラベルという機能でそれぞれのアラームに名前をつけることもできます。また、流す音楽を選ぶこともできます。

朝目覚ましの為に使うことが多いアラーム機能ですが、自分でカスタマイズすれば色々な使用方法ができ、生活のリズムを作るのに役に立つかもしれません。薬の飲み忘れを防ぐためのアラーム、お風呂の時間をお知らせするアラームなど。ぜひ生活の一部に取り入れてみてはどうでしょう。


Apple
iPhone でアラームを設定・管理する方法

今回もiPhoneを使って説明していくね。
アラームは時計アプリの中にあるのでダウンロードなどをする必要がありません。iphoneの中にある以下のアイコンを探して見てください。

今回は「平日7時に起きるためのアラーム」を設定していきながら設定方法を説明していきます。
まずは時計アプリをタップして開きます。

左側写真:画面下部のアラームをタップします。
右側写真:アラームのホーム画面に移動します。

新しいアラームを作っていきます。

左側写真:画面右上「+」をタップします。
右側写真:アラームの設定画面に移動します。

時間の設定

左側写真:画面中央上「16 04」(設定する時の現在時刻になっている)とあるところをそれぞれ上下にスクロールすることで希望の時間に変更できます。
右側写真:今回は朝7時にセットしたいので「7 00」にします。

繰り返しの設定をします。
繰り返しとは、月曜〜日曜までの一週間の曜日で同じ時間にアラームを鳴らせる機能です。

左側写真:「繰り返し」をタップします。
右側写真:平日の7時に鳴らしたいので、月曜日〜金曜日それぞれをタップしていきます。


タップすると黄色のチェックマークが右側に付きます。設定が完了したら左上「>戻る」をタップします。



ラベルの設定
ラベルはそれぞれのアラームに名前をつける機能です。

左側写真:「ラベル」をタップします。
右側写真:画面中央の「アラーム」と書いてあるところに入れたい文言を入力します。アラームは消して上書きしてください。


文言を入力し終わったら、左上「>戻る」をタップします。



サウンドの設定
アラームが鳴る時の音楽のことです。

左側写真:「サウンド」をタップします。
右側写真:左側に黄色でチェックマークがついてるものが現在選択されているものです。上下にスクロールして、好きなものをタップで選択します。タップするとサンプル音が鳴るので音を出せない場面ではご注意ください。選択が終わったら、左上「>戻る」をタップします。

スヌーズの設定
スヌーズとは、一度アラームを止めても一定時間が経過すると再度アラームが鳴るように設定できる機能です。アラームが鳴った時に「停止」ボタンで止めるまで、何度も一定時間ごとに鳴り続けます。iPhoneではこの時間の間隔が9分と設定されています。

左側写真:「スヌーズ」の右側丸い図形(スイッチ)を右にスワイプさせると、このスイッチが緑色に変わります。この状態だとスヌーズが有効になっています。新規でアラームを作る際はここは最初から有効になっているので、切りたい場合に逆にスワイプしてスヌーズが効かないようにすることが出来ます。すべての設定が終わったら、右上「保存」をタップします。
右側写真:保存が終わってアラームのホーム画面に戻ってきました。アラームが完成したので画面中央に表示されています。

アラームのオン・オフ

左側写真:スヌーズの設定と一緒で、このアラーム自体を有効、無効に切り替えることができます。「7:00」の右側グリーンのスイッチを左にスワイプすることで、アラーム自体を削除せずに必要の無い時は休止することが出来ます。
右側写真:アラームが作動しない状態です。

アラームの削除

左側写真:アラーム自体を削除したい時はそのアラーム自体を右から左にスワイプします。
右側写真:そうすると、右側に赤色の削除というボタンが出てくるのでそこをタップするとこのアラームが削除されます。

アラームが実際に鳴ると

左側写真:画面中央にラベルが大きく表示され、設定したサウンドが鳴ります。止めたい場合は画面中央下、「停止」をタップ。スヌーズ機能を使ってもう一度鳴らしてほしい場合は画面中央の「スヌーズ」をタップします。
右側写真:スヌーズをタップした場合は残り時間とともに画面のようにもう一度アラームが鳴るまで表示されます。


以上でアラームの基本的な設定方法の説明はおしまいです。アラームは必要な時間に応じていくつでも増やせるので色々と設定してぜひ活用してみてください。

一度作成したアラームは何度でも編集可能です。

左側写真:アラームのホーム画面左上「編集」をタップします。
右側写真:編集したいアラームをタップします。アラームの前に赤い丸が表示されますが、こちらをタップすると右側に削除のボタンが現れてアラームの削除ができます。


アラームを設定した時と同じ画面になるのでこちらから変更したいところをタップしてください。操作方法は「アラームを設定する」と同じです。


調節をボタンですると画面上部に音の大きさを表すゲージが表示されます。グレーの部分が左から右に進むと音が大きくなっていきます。

設定Appからも調節することが出来ます。
iPhoneのホーム画面から以下のアイコンをタップします。


左側写真:「サウンドと触感」をタップします。
右側写真:画面中央の「着信音と通知音」の下にある「◯」をスライドさせて音の大小を調節できます。右方向が大です。

「ヘイ シリ」とiPhoneに声をかけてアラームを設定することができます。一例を紹介します。

アラームを作ってセットしてもらう。

左側写真:「ヘイ SIri、明日 7 時に起こして」と声をかけると、Siriが「アラームを7時にセットしました」と言ってくれます。この場合だと、起こしてほしい時間にすでに作ってあるアラームがなかったので新しいアラームをSiriが作ってセットしてくれています。
右側写真:時計のアラームを開いて確認してみると、7時にアラームが出来ていました。7時というと19時と認識してしまうこともあるので、「朝の7時」や「午前7時」などわかるように言ってあげるといいです。

セットしたアラームをオフにしたい時

左側写真:「ヘイSiri、7時のアラームをオフにして」というと、「7時のアラームをオフしました」と言います。
右側写真:確認すると、先程設定したアラームがオフ(無効)になっています。これを例えば「ヘイSiri、7時のアラームを削除して」というとアラーム自体を削除する指示になってしまうのでアラーム自体は残して置きたい場合は「オフにして」と伝えるのがよさそうです。

自分がオンにしているアラームを確認する。

「ヘイ Siri、何個のアラームがオンになってる」と聞くと、現在オンになっているアラームを教えてくれます。

自分が設定しているアラームを確認する。

「ヘイ Siri、アラーム」と聞くと、現在設定されているアラームすべてを教えてくれます。

ラベルでアラームを設定する。

左側写真:「『起床』のアラームを設定して」というと「はい、7時のアラームをオンにしました。」と答えてくれます。
右側写真:確認すると、起床というラベルの付いたアラームがオンになっています。

Siriへの聞き方の一部を紹介してみました。これという正解はないのですが、機械でもわかるように時間や、ラベルなどを正確に伝えるとよりストレスなく使用できます。色々な問いかけ方があるのでぜひ色々な言葉で試してみてください。

学くん
学くん

身近なアプリだっただけにそれ以上の使い方をしてこなかったけど、おじいちゃんのおかげで僕も今は色んな使い方してるよ!

おた助
おた助

僕も!「学校に行く時間」とか「塾に行く時間」とかアラームをつけておくだけで、それまでの時間を有効に使える様になったよ。お知らせしてくれるから逆にそれまで集中して別のことができるんだよね。それはそうと、おじいちゃんはどうかな。

学くん
学くん

おた助くんは相変わらず意識が高いなぁ。うん!おじいちゃんのアラーム色々二人でセットしたよ。薬の時間もばっちりラベルをつけてアラームを鳴らしているよ。とても助かってるって。起床のアラームに「顔を洗おう〜!」ってつけたり、ちょっとラベルを工夫するのもいいね。毎日起こることはアラームに大体入れたよ。

おじいちゃん
おじいちゃん

2人ともありがとうね。毎日繰り返すことでも忘れてしまうことがあったから助かっているよ。薬も忘れず飲めているよ。おかげで毎日同じリズムで生活することができるようになったよ。

おた助
おた助

それはよかったです。アラームが鳴った時にラベルが思ったより大きく表示されて見やすいのもいいですよね。

おじいちゃん
おじいちゃん

そうじゃね。音も鳴るし、画面いっぱいに表示されるのがわかりやすくていいよ。

学くん
学くん

今回も新しい使い方を知れてよかった〜。まだまだ知らない機能がたくさんあるね。ぼくも勉強しなきゃな〜。

おた助
おた助

じゃあ今度は学くんが僕になにか教えてよ!

学くん
学くん

えー!

鬼頭さんから一言

鬼頭さん

前回のリマインくんに続いて、今回もやることを忘れないようするための工夫ですね。アラーム機能はスマートフォンだけでなく、ガラケーにも標準的についている機能です。とても身近なアプリですよね。
リマインくんが家族や友人との約束など不定期な予定を確認するのに向いているのに対し、アラームは定期的に繰り返す予定の確認に向いています。ぼくの知っている認知症の人や高齢者でアラーム機能を使っている人は、薬の管理に使っている人が多いですね。服薬って毎日のことなのについつい忘れてしまいがち。アラームは一度設定しておけば(誰かに設定してもらっても)毎日確実に教えてくれるところがいいところですね。
ポイントはおた助くんが教えてくれたように、メッセージを添えること。毎日のことは億劫になりがちですが、ちょっとした工夫で気持ちよく取り組めます。身近なアプリでも少し使い方を工夫するとよりよくなるいい例ですね!