Column: 005

文字ヶ原樹海

活字の森から生還せよ!

2019.09.27

認知症世界。この世界には、一度迷い込むと、同じところをぐるぐる回り、一向に先に進めず、ゴールへ無事にたどり着けない活字の森があるのです。

本を読んでいると登場人物の名前が覚えきれず、たまにしか出てこない人が出てくると「あれ?この人だれだっけ」と思いながら数ページ戻る、なんて経験のある人もいるのではないでしょうか。

私は小説を好んで読むのですが、登場人物の名前が毎回と言っていいほど分からなくなり*1、物語に戻れなくなりました。名前の他にも、場所の名前も覚えづらくなってきて*2、すっかり小説はご無沙汰になってしまいました。

また、最近では、文章を読むこと自体が難しくなりました。

文字や単語を読むことはできるのです。
でも、”文章”になった途端、文章全体としての意味がつかめないということがあります*3。
それはまるで、ザルで水をすくうような感覚で、文字が網膜を通っていくのはわかるのだけれど、意味はなに一つ頭に残らないのです。

さらに、複数行の文章になると、行が変わるたびにどこを読んでいたのか迷子になってしまいます。目線を次の行に移す時に目線を向ける先がどこなのかがわからなくなったり*4行間の余白を目線がふわふわと漂ってしまう感覚*5になります。

「あれ、今、どこを読んでいたのかしら?」
と、読んでいたはずの言葉を思い出しながら1文字1文字探そうとするのですが、なぜか見つけることができません。まるで白い霧がかかった森の中に置いてきぼりになってしまったよう。

そんな具合に、本の森をさまよっていると、楽しむ前に疲れてしまうのです。
そんなに無理して読まなくてもと思い、読書を中断して本を閉じることもあります。しかし、次に本を開いたときには、そこまでの内容をほぼすべて忘れていました*6。

これらは、新聞でも、雑誌でも同じなのですが、
雑誌の文字は、タイトルの飾りのある文字になっていたり、字の大きさや向きがバラバラだったり
吹き出しがついていたりします。こんな風に書体がころころ変わったり装飾のある文字だと認識しづらく*3さらに読むのが難しいのです。

新しい物語に出会ったり誰かの著作を読むのは他人の人生を垣間見ているようだし、新聞を通じてニュースを読むのは世の中と繋がっている感じがして大好きな時間なのですが、すぐ頭が疲れてしまって最後まで読み切るのはとても難しいことです。

それでもなんとか文章が読める、何か良い方法はないものか、と日々研究中です。

最近では、目で読むことが難しいのならば、耳を使ってみようと、文章を読み上げてくれるオーディオブックスマートフォンの音声読み上げ機能を利用して電子書籍を利用してみました。
忘れっぽいところは変わりませんが、目を凝らして文章を追わなくていい分、楽だし、それなりに楽しめます。
読みたい本がオーディオブックになっていなかったり、少々機械的な音声が気になるところですが、好きな本を読める喜びには替えられません。

Barrier:

「文字ヶ原樹海」に直面する背景には、
以下6つの認知症に伴う心身機能の障害が考えられます。

記事をシェアする

Knowledge:

認知症のある方ご本人、支援者、家族、その他全ての人のこの課題解決のための知恵や世の中の障壁に関する情報を掲載します。皆さんの知恵の投稿もお待ちしております。

認知症のある方ご本人、支援者、家族、その他全ての人のこの課題解決のための知恵や
世の中の障壁に関する情報を掲載します。皆さんの知恵の投稿もお待ちしております。

  1. 共創ハブ研究員の知恵

    2019.09.25 投稿

    オーディオブック

    共創ハブ研究員の知恵

    2019.09.25 投稿

    会員登録をしてウェブサイト上で好きな本を購入することで、スマホやパソコンなどの端末から本を聞くことができます。文字が読めなくても本が読めるのはもちろんですが、重い本を持ち歩かずに済んだり、混み合った電車内で本を開くことを遠慮したりする必要もなく、思ってもみなかったところで便利さを感じています。
    https://audiobook.jp/

  2. 共創ハブ研究員の知恵

    2019.09.25 投稿

    電子書籍×テキスト読み上げ機能

    共創ハブ研究員の知恵

    2019.09.25 投稿

    Kindleなどの電子書籍アプリで、iPhone機能のひとつ「スピーチ」を使うことによって、手軽に本を聞くことができます。
    https://japanese.engadget.com/2016/09/12/iphone-iphone-tips/

  3. 樋口直美さんの知恵

    2019.09.25 投稿

    行がわかる栞や付箋を使う

    樋口直美さんの知恵

    2019.09.25 投稿

    一度本を閉じると、普通の栞(しおり)ではどこまで読んでいたかすぐにわからなくなるので、行がわかる栞や付箋を栞代わりに使っています。
    https://www.amazon.co.jp/dp/B002O69FG8/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_azhHDbQDG212Y?fbclid=IwAR0HsOBuOgu2LMB2EOvaxt2loUn3FHVj14VZhTXF9AtxnYJROCbMVmeUGF4

  4. 樋口直美さんの知恵

    2019.09.25 投稿

    体調に合わせて読む時間を決める

    樋口直美さんの知恵

    2019.09.25 投稿

    私の場合は、脳が働く時と働かない時があるので、脳が働かない時は何も読みません。調子の良い時にだけ読書を楽しんでいます。

  5. ささぐまさんの知恵

    2019.09.28 投稿

    希望します

    ささぐまさんの知恵

    2019.09.28 投稿

    認知症
    大人が今まで出来た事が出来なくなる、というイメージ
    心身症状をみると、子供の発達障害の症状と重なる点が
    あるのですね。どちらとも、脳に支障があり、症状がでている、と、いう事。子供は経験を積み、出来るようになる事もあるでしょうが、その事に気付かず大人になり
    苦労する人達がいます。認知症も発達障害も、その事を受け入れ、今、何がその人に必要かを見つける事と思います。ただ、そうじゃないかと、思っても、受け入れる事が難しいのは、受け入れてくれる世の中の準備がないからでは、ないでしょうか。身体障害の人も
    含め、受け入れるやさしい社会が出来ると
    いいな、と思います。

この記事に関するみなさんの知恵を募集しています。

同じような困りごとを解決にみちびくためのあなたや周りの方の暮らしの工夫や便利グッズなどを知恵として投稿してください。投稿された知恵は、メールアドレスを除き、こちらのページに掲載されます。運営事務局がふさわしくないと判断したものは掲載しない場合がありますので、ご了承ください。
>その他、記事や活動に関するご意見・ご質問はこちらのフォームよりお寄せください。

さんの知恵