この作品では、最初に体験者の顔写真を撮影します。すると、撮影された顔写真から眉・目・鼻・口の位置や大きさ、顔の輪郭の形を変化させた9枚と、何も変化させていないオリジナルの1枚の計10枚の「あなたらしき顔」が提示されます。体験者は、この10枚の顔写真から「本物」の顔の1枚を探し出すことができるでしょうか?目の前に並ぶ10枚の顔写真を見ても、何かがちがう、という違和感はあっても何がどう違うのか説明することは至難の技です。本物の自分の顔を探しだす過程は、顔の認知や記憶の仕組みについて考えるきっかけとなります。
- 【制作者】
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企画:渡邊淳司(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
技術協力:吉田成朗(東京大学)、川瀬佑司(東京大学)
体験デザイン協力:日本基礎心理学会「心の実験パッケージ」開発研究委員会
システム開発協力:川鍋徹(アートアンドプログラム株式会社)
- 【制作年】
- 2016年
あなたの脳を覗いてみよう
この作品では、どのように人の顔を覚え、そして見分けているのかという顔認識のしくみを感じることができます。
私たちは、友人がちょっと太っても別の人だとは思わなかったり、笑ったり泣いたり表情が変わってもその度にあれ?この人誰だろう?と思ったりはしませんよね。私たちの脳は、顔を認識する時にその様々な小さな差異を自分の記憶や予測できる変化の幅を想像で埋めながら認識しているのです。
認知症のある方は、そのような認知のしくみに何らかの障害を抱えるため、仕事中、同僚やお客さんの顔がわからない、待ち合わせのときに通りすがりの人がみんな知り合いに見えてしまう、という困りごとが起こっています。