となりのおた助くん

認知症のあるおじいちゃんとの暮らしの中での「ちょっと困った」をスマホやITサービスの力を借りて解決するお助け連載。みなさんも一緒に身近なデジタルツールを活用して日々の小さな手間を減らしていきませんか。

vol. 2

会えない時に近づく距離(スマートフォン編)

Zoomで始めるオンラインの集い

はじめに

この連載では、認知症のあるおじいちゃんの周りでおこる日々の“ちょっとした困りごと”を、物知りおた助くんがデジタルツールを困っている人に紹介して解決していきます。デジタルツールというとなんだか馴染みが無く敬遠してしまうという人も大丈夫、あなたが毎日使っているスマホもその一つです。特別なものや知識は必要ありません。認知症のある方、また関わるご家族、支援者の方、地域の人たちの暮らしがほんの少しでも便利になるような連載を目指していきます。

今回の登場人物

  • おた助くん

    おた助くん

    学くんの同級生で、スマホ、パソコンなど最新の技術に詳しい高校生。

  • 学くん

    学くん

    なんでもチャレンジしてみる高校生。認知症のあるおじいちゃんと暮らしている。

  • 鬼頭さん

    きとうさん

    地域包括支援センターの職員。認知症のある方の暮らしや制度に詳しい専門職。

学くん
学くん

ここのところおじいちゃん元気がない気がするなぁ。いつも会ってた友達と会えないからだろうなぁ。このままだとおじいちゃんがますます暗くなっちゃう。このあいだ聞いたばかりだけど…またおた助くんになにかいいものないか聞こう!

学くん
学くん

おた助くん、この前はありがとう。早速なんだけど…おじいちゃんが最近元気がなくて、なにかいい方法ないかな。

おた助
おた助

学くん、僕は何でもわかるわけではないからそれは僕にはわからないよ...

学くん
学くん

ごめん、説明が足りなかったね。おじいちゃんがいつも行っていた認知症カフェ(認知症の人や家族などが気軽に集まれる場)が中止になっていて、友達に会えなくてしょんぼりしているように思うんだ。

おた助
おた助

なるほど、こんなご時世だもんね。最近はスマホからでもいろんなメッセージアプリで無料のビデオ通話ができるけど、おじいちゃんはそういうのはやらないのかな。

学くん
学くん

メッセージは送り合うけど、そういうのはまだないと思う。

きとうさん
きとうさん

こんにちは、おふたりさん。はじめましてきとうです。地域包括支援センターの職員をしていて、Zoomを使った認知症カフェを開いているよ。おじいちゃんが元気がないということだけど、一度僕のやっているZoomカフェに参加してみないかな。

おた助
おた助

こんにちは。今よく使われているZoomですね。それはいいですね。参加者は事前に送られたURLをクリックするだけで参加ができるし、アプリをダウンロードするだけでアカウントを制作する必要がないので気軽ですね。

学くん
学くん

こ、こんにちは!そうですね。一度やればハードルが下がるかもしれないですし、これで操作を覚えられればいつもの会でもみんなで使ってまた会うことができますもんね。

きとうさん
きとうさん

ネット上に部屋があって、そこにみんなが集まってくるイメージだよ。使い方はとても簡単で、スマホひとつで気軽に参加できるよ。

おた助
おた助

きとうさん、とてもわかりやすいイメージありがとうございます!
それじゃあ、今回はスマホからZoomでの集まりに参加する方法をサクッと伝えていくよ!

詳しいアプリの使い方

Zoomとは

パソコンやスマートフォンを使って、オンライン(実際に会うことなく画面上)でセミナーやミーティング(集会・打ち合わせ)をするために開発されたアプリです。
たくさんあるメッセージアプリと何が違うのかというと、Zoomは主催者から招待URL(集まりの場所を示す文字列で、ネットワーク上の会が開催される住所みたいなものだと思ってください)またはミーティングID(会を特定するための番号)を受け取れば、集まる相手と番号の交換や友達の申請などせずに繋がれるところです。また参加するだけなら、面倒なアカウント登録をせずにアプリをダウンロードして自分のスマホにいれておくだけで使用することができます。
今回はスマホから参加をするということに絞って操作の方法を紹介していきます。

パソコンで参加する場合はこちら

スマホからZoomでの集まりに参加する

まずはZoomをいれてみよう。
今回もiPhoneを使って説明していくね。

スマホのホーム画面にある、App Storeをタップします。

左側写真:右下の検索をタップ。
右側写真:検索の文字の下グレーの窓をタップ。


左側写真:「Zoom」と入力すると下に推測で検索の候補がでてきます。今回は一番上の「zoom」をタップしてみましょう。
右側写真:画面中央の「ZOOM Cloud Me..」の横の「入手」をタップでダウンロードが開始します。AppleIDのパスワードか、指紋認証か、顔認証を求めらるので、いずれかの方法で認証を進めてください。


ダウンロードが完了してスマホのホーム画面にZoomのアイコンが出ました。画面左上のアプリをタップすればアプリが起動します。ダウンロードまでは以上になります。

ダウンロードが完了してスマホのホーム画面にZoomのアイコンが出ました。画面左上のアプリをタップすればアプリが起動します。ダウンロードまでは以上になります。


Zoomには2種類の参加方法があります。
URLをタップしてアプリに接続する方法と、アプリを起動して11桁のミーティングIDとパスワードを入力して参加する方法です。以下のようなものが主催者から送られてきます。

サンプル
URL の場合
https://us02web.zoom.us/j/84360339282?pwd=WGNYd3RNdjFCVFpsd2RwODBicHpJQT09
(pwd=以下が会議のパスワード部分に当たる)

IDの場合
Meeting ID: 843 6033 9282
Password: 848970

それではそれぞれの参加方法を紹介します。

この場合は主催者の方からサンプルのようなURLが送られてきます。こちらをタップすると自動的にZoomアプリが開き集まりの場所に接続します。


サンプル
https://us02web.zoom.us/j/84360339282?pwd=WGNYd3RNdjFCVFpsd2RwODBicHpJQT09

それではみていきましょう。

左側写真:メッセージアプリやEメールを通して送られてきたURLをタップします。
右側写真:他のアプリを開こうとするのでこのような通知がでます。青い文字の「開く」をタップします。招待URLからの集まりへの参加はこれでおしまいです。続きは「集まりに参加するには」を見てZoomアプリ内での操作方法などを確認してください。


URLが送られてきたメッセージアプリごとの対応
URLが送られて来た場合はURLをタップしてZoomアプリへ自動で移動するものが大半ですが、LINEのようにそうではないものもあります。下記にその場合の接続方法をまとめたので普段使うメッセージアプリを確認してみてください。
今回はメッセンジャーアプリというメッセージアプリを使用しましたが、他にもLINEやGmailなどなどメッセージのやり取りには色々なアプリがあります。メッセンジャーアプリのようにURLをタップすればZoomアプリが起動するものが多数ですが、LINEは内部ブラウザで起動してしまいZoomのアプリが起動しません。そういった場合はどうすればいいのかこちらで説明します。

<URLをタップすると直接Zoomが開くアプリ>
iPhoneに元から入っているメッセージアプリ、メールアプリ
Gmail、Slack、WhatsApp、Messenger

LINEでURLを受け取った場合

左側写真:送られてきたURLをタップするとこのような画面に遷移します。以下のリンクをコピーしてウェブブラウザアプリで貼り付けるように指示がでます。それでもいいのですが少々面倒なので、画面右上「✕」の隣のマークをタップします。
右側写真:画面下部よりURLのコピーや共有のメニューが出ます。ここからSafariで開く場合は「Safariで開く」をタップ。Chromeなど他のウェブブラウザアプリで開く場合はその下の「コピー」をタップします。


「Safariで開く」をタップすると、画面がSafariアプリに切り替わり、このようにZoomのアプリを開くかどうかを聞かれるので、「開く」をタップします。これで、Zoomアプリに切り替わります。


左側写真:Chromeアプリで開く場合は、検索窓をタップするとすぐ下に先程コピーしたURLが表示されるのでそちらをタップします。
右側写真:そうすると、「このページは別のアプリケーションで開かれます」とお知らせがでるので「開く」をタップします。


更に「”Chrome”が”Zoom”を開こうとしています」とお知らせが出るのでこちらも「開く」をタップします。これでやっとZoomアプリが開いて集まりに参加出来ます。続きは「集まりに参加するには」を見てZoomアプリ内での操作を確認してみてください。

ミーティングIDは9、10、または11桁の番号の数字の組み合わせで主催者の方から送られて来ます。合わせてパスワードの送付もされるでしょう。

サンプル
Meeting ID: 843 6033 9282
Password: 848970

では、こちらのサンプルのIDを使って参加の方法を説明します。


左側写真:まずはアプリのアイコンをタップします。
右側写真:アプリトップ画面下部の「ミーティングに参加」をタップ。


左側写真:ミーティングIDと自身の表示名を入力します。まず画面上部グレーの文字で「ミーティング ID」とあるところをタップして入力します。次に「表示名」をタップして入力します。こちらは任意のものでかまいません。
右側写真:両方とも入力が終わったらブルーの「参加」ボタンをタップします。


左側写真:ここでミーティングのパスワードを求めらるので、「パスワード」のところをタップして入力します。
右側写真:パスワードを入力すると「続行」の文字が青くなるのでこちらをタップします。
このあとは「ミーティングに参加するには」に続きがあるのでそちらを御覧ください。

ミーティングID・URLどちらから参加してもここから先の操作は一緒になります。 アクセス権の承認や通知の承諾などはアプリをダウンロードして最初の使用時のみになるのですべて許可またはOKをしましょう。あとから設定を変更したい場合はまた別の項目で説明します。


表示名とグレーで書かれているところをタップして、任意の名前を入力します。名前はみなさんに呼ばれている名前などわかりやすいものがいいでしょう。青い文字の「続行」をタップします。


左側写真:「”Zoom”がカメラへのアクセスを求めています」という通知がでます。これはこのアプリを使用する時にカメラの使用を許可するかどうかの確認ですので、白い通知の窓右下「OK」をタップします。
右側写真:ビデオプレビューではカメラの写りを確認します。画面に自分の姿が写ったら青い「ビデオ付きで参加」のボタンをタップします。


左側写真:「”Zoom”がマイクへのアクセスを求めています」という通知がでます。これはこのアプリを使用する時にスマホのマイクの使用を許可するかどうかの確認です。白い通知の窓右下「OK」をタップします。
右側写真:「”Zoom”が通知を送信します。よろしいですか?」という通知がでます。これはこのアプリからの通知を受け取るかの確認です。よければ白い通知の窓右下「許可」をタップします。


左側写真:こちらは、「インターネットを使用した通話」を選択します。
右側写真:これで集まりに参加出来ました。
他にだれもまだ参加してない場合は自分の画面だけが映ります。「ホストがまだミーティングに参加していません。」と出る場合はまだ主催者の方がZoomのアプリを開いていません。


左側写真:画面下部左側、マイクのマークはこちらの音声を一度遮断する機能です。他の方が話している時や自分が長い時間喋らない時はこちらをオンにしておくといいかもしれません。
右側写真:マイクの横のビデオマークは映像のオン・オフを切り替えられます。音声だけで参加したい時や参加しながらちょっとビデオを切りたい時はこちらをタップするといいでしょう。


左側写真:画面をスワイプ(左から右に人指し指でスッとなでる)すると安全運転モードが出ます。こちらは自分がしゃべるときだけ他の人に繋がる様になっています。「会話するにはタップ」を長押ししながら喋りましょう。
右側写真:一定時間画面に触れないと上下の表示が消え繋がっている画面だけになります。


左側写真:ミーティングから出たい場合は画面右上の赤いボタン「退出」をタップ。
右側写真:「会議を退出」をタップで、退出することができます。

ミーティング中のちょっとした変更など

複数人での会議では参加人数によって画面が小さく分割されます。これを「ギャラリービュー」といいます。喋っている人だけを見たい場合はその人が映っている画面を2回タップして「スピーカービュー」に変更しましょう。左へスワイプでギャラリービューに戻すことが出来ます。

2人でミーティングをしていたら自分の画面と相手の画面の切り替えは、小さく表示されている方の画面をタップすることで大小を入れ替える事ができます。

左側写真:ギャラリービュー。喋っている人に緑の枠がつきます。
右側写真:スピーカービュー。

話を遮るほどでもないけど、聞いていて「いいな」と思ったり、何か伝えたい場合は2種類の絵文字を自分の画面に表示させる事ができます。

左側写真:画面右下詳細という表示のマークをタップします。
右側写真:画面下部からメニューが出てきます。一番上の拍手の絵文字といいねの絵文字があります。こちらをタップすると


画面下部に一定時間タップした絵文字が表示されます。

誤った名前をつけてしまった、違う名前に変更したい時はこちらから。


左側写真:画面下部右側、参加者という表示があるところをタップします。
右側写真:画面が参加しているメンバーに切り替わります。自分の名前をタップします。


左側写真:画面下部にメニューが色々と出てきます。その中の一番下名前の変更をタップします。
右側写真:名前の変更の小窓がでます。現在の名前をタップして、新しい名前をキーボードから入力してください。完了ポタンをタップしたら名前は変更されます。

画面が戻ったら左上閉じるをタップして元のミーティング画面に戻れます。

学くん
学くん

おた助くんありがとう!教えてもらったやり方できとうさんの会に参加してみたよ!僕もいっしょに参加したけど楽しかった。

おた助
おた助

それは良かった。最初は少しアプリ自体の設定などがあって大変かもしれないけど、それも初回だけで、次回からはIDやURLがあればそのままZoomのミーティングにつながるからパソコンなどでやるより気軽でいいよね。Zoomはユーザー登録などをせずに主催者がいれば参加ができるのが一番の特徴だね。

学くん
学くん

そうだね。スマホからだと気軽でいいよね。ただ画面が小さくて...出来たら僕のパソコンからZoomをつないで大きな画面でみんなとおじいちゃんが会えたらもっといいのかなと思ったよ。

おた助
おた助

なるほど、手軽だけど長時間や、人数が多かったりすると画面が大きい方がいいかもね。じゃあ次はパソコンからのZoomのつなぎ方を学くんに教えるよ。

学くん
学くん

よろしく!会の後半になるにつれておじいちゃんも疲れちゃったみたいで、他の方法なにかないかと探していたところなんだ。あと、スマホから直接音声を聞いて話すことをすると、スピーカーとマイクが内蔵のものを使うことになって、周りの音を気にしないといけなくなるのがちょっと気になったかな。

おた助
おた助

確かにそうだね。そういう時はマイクの付いたイヤフォンを使うといいね。マイク付きイヤホンを使うと、相手の声も聞こえやすいし、こちらの声も雑音が入りづらく、相手も聞き取りやすい。iphoneには付属のマイク付きのイヤフォンがあるのでそれで十分だよ。その他のスマホでも安価で手に入りやすいものがたくさんあるので購入してもいいね。

学くん
学くん

付属ので十分なんだね。次回はそれで参加をしてもらおう。じゃあパソコン編もよろしく!

おた助
おた助

学くんは調子がいいなぁ。でもそうやって一つづつ問題を解決して新しい方法で人との関係を作っていけるのはいいことだし、僕も勉強になるよ。次回もちょっとづつ学んでいこう!

鬼頭さんから一言

鬼頭さん

コロナウィルスの影響で人が集まって話す機会が少なくなっています。認知症カフェやサロンも、開催できないというところが多いのではないでしょうか。そんな状況の中で、「認知症とともに生きる」ということを考えるとき、本人にとっても家族にとっても、「仲間と会える場」がとても大切だということを、あらためて感じています。
集まることをあきらめてしまうのではなく、zoomを使うことで、仲間の顔を見て話すことができます。あるいは、これまで移動の問題や時間がとれないという問題で、場への参加がかなわなかった人が参加できるきっかけにもなるのではないかと期待しています。
実際にzoomを使った場に参加してみると、参加への心理的ハードルはありますが、それは一度参加してしまうとグッと下がります。また、リアルとは勝手が違う部分もありますが、多くは慣れることで解消ができると感じています。この機会にぜひチャレンジしてみてください!