今回は、2018年に発表された国内外の研究論文の中からテーマを「商品・サービス」に絞り、認知症に関する商品やサービス、それらの開発に必要な技術をテーマとした論文を8本選出しました。
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福祉の現場から IoT活用と生活支援記録法(F-SOAIP)搭載の認知症対応型人工知能KCiS : BPSDの発症予測に基づくケアの最適化と効率化の実証研究
地域ケアリング
認知症の予防と支援に役立つ人工知能と高齢者とともにつくる認知症予防支援サービスの開発
人工知能 : 人工知能学会誌 : journal of the Japanese Society for Artificial Intelligence
認知症患者向け家電制御のためのIRセンサとRFIDを用いた状況認識手法
電子情報通信学会技術研究報告
認知症者のための音楽療法システムの提案
人工知能学会全国大会論文集
【アブストラクト】
我々は、軽中度の認知症者が自分の成長を楽しみながら取り組める演奏支援システムと、重度の認知症者の精神的な症状からくる常同行動を静めることを目的とした半自動伴奏システムの開発を行っている。本発表ではそれぞれのシステムのデモ映像とともに今後の展開や解決すべき課題について論じる。
介護見守りにおけるソーシャルeサイエンス
人工知能学会全国大会論文集
【アブストラクト】
われわれは、社会全体と融合した科学研究(人々の日常の生活や業務を通じて定常的に生み出される電子データを用いた仮説検証サイクルによる真理の解明と公共的価値の創造)という意味でのソーシャルeサイエンスという概念を提唱している。その応用として、高齢者が自分の日常生活行動のデータを蓄積することを容易にし、家族がそのデータを用いて遠隔からの見守りや介入により認知症の予防等を図る可能性を論ずる。
認知症者とロボットの対話のための相槌認識における話者依存性の分析と話者適応の効果について
電子情報通信学会技術研究報告
【アブストラクト】
軽度認知症者への情報支援を目的として,対話を通じて必要な情報を伝達するために,ロボットの問いかけに対する相槌を11の機能カテゴリに識別する実験を行った.対話のタスクドメインを限定した言語モデルと,高齢者用音響モデルを用いた実験により,平均およそ6割の識別率を得た.また,話者毎の分析から,識別率は,認知症の評価スケールとの相関は低いが,年齢との間には強い負の相関が確認された.特に,80歳を超える高齢者の識別率を改善するため話者適応を行ったところ,識別率は平均7割まで向上した.さらに,肯定・納得とそれ以外のカテゴリを識別する2値分類においては,平均8割の識別率を得た.
認知症高齢者向けライフログをベースとした傾聴支援システムの検討
電子情報通信学会技術研究報告
【アブストラクト】
近年日本では高齢化が進むとともに,認知症高齢者が増加している.認知症に対する治療の多くは専門家が必要だが,専門家などに頼らず日常のケアの中で実施出来るものとして回想法や音楽療法がある.これらはボランティアにより傾聴や音楽CDなどを用いて実施されることが多いが,対象者のそれまでの人生の調査や,ライフイベントを理解する必要があるなど,傾聴を行う側の労力が大きい.これら課題を解決し,より効果的な傾聴を実現するため,Webを利用して対象者の思い出の音楽の収集や人生史をタイムライン状に表示するなどの機能を持つ傾聴支援システムを開発した.その結果,人生史の可視化による時代・人生背景の理解支援や容易に幅広い音楽を用いることが可能となり,傾聴ボランティアへのヒアリングより有用性があると評価を得た.
Involving people with dementia in developing an interactive web tool for shared decision-making: experiences with a participatory design approach
Disability and Rehabilitation
【アブストラクト】
Purpose: The aim of this study was at gaining insight into the participatory design approach of involving people with dementia in the development of the DecideGuide, an interactive web tool facilitating shared decision-making in their care networks.
Method: An explanatory case study design was used when developing the DecideGuide. A secondary analysis focused on the data gathered from the participating people with dementia during the development stages: semi-structured interviews (n = 23), four focus group interviews (n = 18), usability tests (n = 3), and a field study (n = 4). Content analysis was applied to the data.
Results: Four themes showed to be important regarding the participation experiences of involving people with dementia in research: valuable feedback on content and design of the DecideGuide, motivation to participate, perspectives of people with dementia and others about distress related to involvement, and time investment.
Conclusions: People with dementia can give essential feedback and, therefore, their contribution is useful and valuable. Meaningful participation of people with dementia takes time that should be taken into account. It is important for people with dementia to be able to reciprocate the efforts others make and to feel of significance to others.
・Implications for Rehabilitation
・People with dementia can contribute meaningfully to the content and design and their perspective is essential for developing useful and user-friendly tools.
・Participating in research activities may contribute to social inclusion, empowerment, and quality of life of people with dementia.