脳を旅する展

認知症世界に触れるデザインミュージアム

認知症の理解につながる、知られざる脳のはたらきをあなた自身の脳を旅して体感してみてください。さあ、一緒に脳の旅へ出発しましょう。

vol. 03

Tango

動画はこちら:Youtubeチャンネル ZbigVision「Tango」

この短編映画は、部屋の窓からボールが飛び込んでくるシーンから始まります。男の子が、部屋に入りそのボールを取って出ていく。すると、誰もいなくなった部屋にまた同じようにボールが飛び込んできて、次は左のドアから赤ちゃんを抱いた女性もやって来る。女性がいなくなると、また窓からボールが…と、複数人の動作が繰り返される動画がいくつも重なっていくムービー。初めは、一人ひとりの動きを追ってみるものの、次第にすべての人の動きを追うことが不可能になり、繰り返されるものの把握できなくなっていく混沌とした感情とその中で「何かが起こるのではないか、それを見逃してはならない!」という妙な緊張感を感じるのです。

【制作者】
Zbigniew Rybczynski

【制作年】
1981年

【あなたの脳を覗いてみよう】

この作品では、普段意識することのない自分の脳の注意のしくみを感じることができます。
私たちの脳は、五感から入ってくる大量の情報の中から見聞きするもの、つまり注意する物と、注意しないものを常に選択・切り替えしています。例えば、カフェでコーヒーを飲んでいるとき。舌からはコーヒーの味が、鼻からは匂いが感じられます。指はカップの温度を感じ、耳からはカチャカチャとスプーンの音が聞こえ、目からはお店のインテリアが見えるなど、多くのことを感じとっています。しかし、コーヒーを飲んでいるときに、「今、お尻の右下あたりがちょうど椅子の角に当たっている」と感じながら飲むことはあまりありませんよね。ひとの脳では、今の自分に必要なものとそうでないものを無意識に判断しているのです。

認知症のある方は、この注意の選択や切り替えが難しいことから、複数人での会話に集中できなかったり、店内のBGMが気になってしまいひどく疲れてしまう、という困りごとが起こっています。

関連する心身機能障害

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複数のことを同時に実行できない

36

聞くべき音・見るべきモノに集中できない

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視覚・聴覚・嗅覚が敏感になる

この認知の仕組みと認知症の関係を詳しく知るには