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岩田裕之

いわた ひろゆき

年齢:

53 歳 (2019年3月インタビュー時点)

性別:

男性

生年月日:

1966年

居住地:

東京都

同居家族:

独居

職業:

元印刷・出版業

発症年齢:

46 歳頃

診断年齢:

51 歳

診断名:

前頭側頭葉変性症 (行動異常型認知症)

要介護度?介護保険制度において、心身の状況に応じて判定される介護の必要度。なんらかの社会的支援を要する要支援(1・2)、部分的(要介護1)から最重度(要介護5)の介護を要する要介護の段階がある。<:

自立

障害等級(障害者手帳)<?障害者手帳は、一定の障害があることを認定するもので、各種支援策が講じられる。認知症で身体に障害がない場合は「精神障害者保健福祉手帳(1級から3級)」、身体に障害がある場合は「身体障害者手帳(1級から7級)」を申請することができる。いずれも1級が重度。:

精神障害者保健福祉手帳 2級 (2019年3月時点)

当事者同士の集まり頻度:

月に2回程度、若年性認知症の人の会イベント
東京都板橋区の地域リビングのおうちごはんや子ども食堂

これまでのあゆみ

2012年(46歳)

仕事のミスや言葉遣いの変化について指摘を受け、会社の人から受診を勧められる
うつ病の診断を受けて6か月休職する

診断

2014年(48歳)

復職後、会社の人から仕事のミスを言われて、前よりもうつがひどくなっていると上司から指摘される
精神科医に脳の検査をして欲しいとお願いし、MRIによる脳検査の結果、顔面図から左右の脳に大きな穴が見つかる。アルツハイマーと診断される
会社では、アルツハイマーが「認知症」と理解されていなかったため、2年程はこれまでと同じ様に働く

2017年(51歳)

仕事のミスが増え、また酷くなっていると上司から指摘を受ける
脳のどこが悪いのか知りたいと精神科医に言い、アイソトープ検査を受けた結果、認知症と診断され、「症状は不可逆性で、予後は不良と考えられる」と書かれた診断書を受け取る

診断書の提出を会社から求められていたため、それを会社に持参すると、依頼退職を告げられ、しばらく引きこもる

板橋区に引越しする

傷病手当を得ながら求職活動をするが、求人がない。面接に行けたとしても、募集が少なく、病名で精神障害の担当者にまわされて仕事が見つけれられないし、時間がかかる。就職は諦め生活保護の申請をする

以前住んでいた区の保健師が色々な手配をしてくれたが、引越した際に、引越し先である板橋区の保健師に「訪問してあげて欲しい」と連絡をしてくれたため、板橋区の保健師が訪ねてくれる。何度が話をする時に、保健師に「同じ病気の人がどうやって生活をしているのか知りたい、話がしたい」と伝えていたところ、保健師から若年性認知症の会のパンフレットを持ってきてくれたため、代表の方に連絡をして1時間ほど話をする

その会が開催するBBQに参加し、当事者や支援者・医師などと話して3年ぶりに笑顔で楽しく過ごせるようになる。会の支援によって、得意な料理を生かした地域リビングの手伝いや食事作り(ボランティア)など行い、地域に居場所ができる

板橋区の大山駅近くの健康長寿医療センターの精神科に転院する。担当医より最初から診察して頂きMRIの検査、アイソトープの検査、心理検査を受ける。その後、骨髄液の抽出の検査で1泊2日の検査入院する。12月、前頭側頭葉変性症と診断される

2018年(52歳)

難病指定の病気のため、難病手当の支給ができると担当医から教わり、難病手当の受給の手続きを行う

2019年(53歳)

5月まで利用していた介護保険サービスから、現在、障害者支援制度への切り替えを行なっている
若年性認知症の会で出会った弁護士に後見人になってもらい、生活保護・障害年金・難病手当を受給して、ケースワーカーや成年後見人の弁護士に金銭的な管理をしてもらっている

人生・生活の喜び

1

今は諦めてしまった喜び

飲み会で色々な人と話すこと

2

発症後の喜び

地域リビングや子ども食堂、ポンテの会(本人の会)で月1回開催される誰でも居酒屋に参加すること

3

発症後の喜び

前頭側頭葉変性症(行動異常型認知症)のこと、ひとり暮らしの認知症の人のことを社会に知ってもらうこと

今後やってみたいこと

板橋区で認知症の方と料理屋さんを開店し、色々な方に料理を作って喜んで頂ける場所を作りたい

生活課題

心身機能障害

社会へのメッセージ

前頭側頭葉変性症(行動異常型認知症、意味性認知症)は、認知症の中でも難病に当たる病気で、治療薬もない、治療方法もないというこの病気を知ってほしいと思います。
認知症は家族との生活がメインになる場合が多いけれど、一人で暮らす人の立場にも目を向けてほしいと思います。
また、同じ病気でも飲む薬や症状が違うことや、家族構成などで100人いれば100通り、1,000万人いれば1,000万人の方々がそれぞれ違うということを理解してほしいと思います。