柿下秋男
かきした あきお
年齢:
65 歳 (2019年5月)
性別:
男性
生年月日:
1953年
居住地:
東京都
同居家族:
妻と2人暮らし
職業:
元オリンピック選手/元東京青果株式会社商品センター役員
発症年齢:
60 歳頃
診断年齢:
61 歳
診断名:
アルツハイマー型認知症または脳血管性認知症か不明
認知症の評価スケール?Mini-Mental State Examination(MMSE)
国際的に最も広く用いられている本人への質問式の認知症のスクリーニング検査。見当識、記銘力、注意・計算、言語機能、口頭命令動作、図形模写等の認知機能の評価からなり、総得点30点で一般に23点以下を認知症の疑いとする長谷川式スケール(HDS-R)
我が国で広く用いられている本人への質問式の認知症のスクリーニング検査。年齢、見当識、3単語の即時記銘と遅延再生、計算、数字の逆唱、物品記銘、言語流暢性の9項目からなり、総得点30点で、一般に20点以下を認知症の疑いとする。:
MMSE 27点 (2017年7月現在)
要介護度?介護保険制度において、心身の状況に応じて判定される介護の必要度。なんらかの社会的支援を要する要支援(1・2)、部分的(要介護1)から最重度(要介護5)の介護を要する要介護の段階がある。<:
要介護1 (2018年7月現在)
障害等級(障害者手帳)<?障害者手帳は、一定の障害があることを認定するもので、各種支援策が講じられる。認知症で身体に障害がない場合は「精神障害者保健福祉手帳(1級から3級)」、身体に障害がある場合は「身体障害者手帳(1級から7級)」を申請することができる。いずれも1級が重度。:
精神障害者保健福祉手帳 3級 (2018年7月現在)
介護保険サービス利用:
デイサービス週2日
ケアマネ訪問月1回
当事者同士の集まり頻度:
当事者の会など月1回
これまでのあゆみ
2013年(60歳)
頭が常時ぼわっーとしてすっきりしない。上司から「大丈夫か」とも言われる
その当時のことはよく覚えていない
家族が道に迷う、旅行の準備に時間がかかる、仕事から帰宅すると疲れはてている、翌日の仕事が気になり何度も確認するなどの様子に気づく
診断
2014年(61歳)
定期的に通院していた神経内科でMCI(軽度認知障害)と診断される
それまではひとりで通院していたが、診断時は妻が同行する
2015年(62歳)
神経内科で治療の見通しを確認したが、はっきりしないため、友人の医師の紹介で認知症専門医に転院する
仕事を続けながら、病院のデイケアに週1回、半日参加する
役員を任期満了し退職し、病院のデイケアは週2回参加するようになる
退職後の日中活動のため同じような年代が少人数で活動する、若年性認知症対象デイサービスに週2回通所し始める
2018年(64歳)
「みんなの談義所しながわ」と出会い活動に参加する
RUN伴、ソフトボール大会、バーベキュー、餅つきなどのイベントを仲間と楽しむ
認知症本人ワーキンググループに参加する。厚労大臣との懇談などを経験する
2019年(65歳)
認知症であってもなくても暮らしやすい街の姿を「みんなの談義所しながわ」で仲間と話し合う。
誰でも参加できる場として、やりたいことを出し合いながら地域でゆるく集まり始めている
週1回、筋トレをすることが習慣になっている
人生・生活の喜び
1
発症後の喜び
認知症当事者や介護職などの枠を超えて人と付き合うこと
2
発症後の喜び
海を眺めたり、果実の匂いを嗅ぎ分けたり五感で楽しむこと
3
発症後の喜び
芸術療法で臨床美術を始めたことで、展覧会に行くようになったことや、海辺や花の絵を描くこと
4
発症後の喜び
RUN伴や認知症の仲間と野球をすること
5
発症後の喜び
デイサービスで自分たちが考えて作ったものを売ったり、その活動を地域にアピールすること
今後やってみたいこと
せっかく認知症になったのだから、これをチャンスに、この経験を活かしてできることをやりたい。
最近、同じ病気の人、何らかのハンディがある人と集い、話せる場は欲しいと思うようになってきた。
今やっていること、楽しいこと、困っていること、工夫していることなどを持ち寄り、共有できたら。
いろんなことが生みだせる!みんなの談議所しながわの仲間とも相談しながら、そんな場を作っていきたい。
生活課題
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生活11分類生活課題DATA心身機能障害知恵
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式典に出席するときに、普段着とは違う正装を着なければならず、何を着れば良いか思い出すことが難しい困っていることだけを妻がサポートしてくれる
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以前は料理をしていたが、今は料理のことまで考えられなくなり、料理をしなくなった一人でできることと、二人でできることを一緒にやれば料理は作れるかもしれない
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その日に何をしたか分からなくなる何をしたか分からなくならないよう、日記に書きとめておく
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郵便局の振込の手順が多いと途中で混乱して、指の動作が止まったり、操作を間違えたりする
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新しい環境に行くとぐっと疲れやすいという感覚があり、徐々に重くなってきている
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病院の心理検査のとき、病院スタッフの無感情な表情がプレッシャーに感じる
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デイサービスの提供するプログラムは単に何かをこなしていれば良いという内容に感じる
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シャンプーとリンスの違いが分からなくなる
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新しい場所に行くことや新しい何かをすることへの対応力が下がったように感じて疲れやすい
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記憶に残っている風景と実際の風景が異なり、久々に訪れると別世界の様に感じ混乱し、目的地に辿り着かない
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外が見えない地下鉄では、乗る電車を間違えたらどうしようと不安になる。逆方向に乗り間違えることもある
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人と会話をしていて、話が長かったり、話題が変わると集中すること、理解することが難しい
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電話だけのやりとりでコミュニケーションをとることは難しい。予定を言われてもわからなくなる電話と同じ内容を後からメールの文章送ってもらうようにして、問い合わせられるようにしておく
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イメージは出てくるが、人や物の名前が分からない
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ドラマの場面が切り替わると話についていけなくなる
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連続ドラマの話を忘れてしまい、ストーリーの理解が難しい
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美術館で複数の展示が開催されていたり人が多いと、見たい展示がどこか、どこを歩いているのかわからない
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美術館で他の人と一緒に動いて鑑賞すると、自分が今なにを見ているのかわからなくなって不安になる
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映画は話が長いため途中でストーリーがわからなくなり、集中できなくなる
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展覧会に行くまでの間に何かあったらどうしようと不安で気を張っており、会場に着く頃には疲れている目的地に誰かと一緒に行ければ安心ができる。もし一人で迷ったら聞きやすそうな人に聞いてみる
心身機能障害
社会へのメッセージ
認知症は支援されるだけの存在ではない。
できること、したいことはたくさんある。さまざまなことをふつうに感じている。
誰にでもある不得意なこと、苦手なことをお互い分かり合って暮らしていける社会。自分の能力、個性を活かして社会貢献できる社会。みんなで創っていきたい。