N.S
年齢:
71 歳 (2019年12月インタビュー時点)
性別:
女性
生年月日:
1948年5月28日
居住地:
福岡県福岡市
同居家族:
ひとり暮らし
職業:
元塾の先生
発症年齢:
64 歳頃
診断年齢:
64 歳
診断名:
アルツハイマー型
レビー小体型
介護保険サービス利用:
週に2回デイサービス利用
当事者同士の集まり頻度:
認知症の集い(進行役)
これまでのあゆみ
2013年(64)
今までとは違う体験をする。忘れものなどをして、友達に相談してみるが「歳をとったらみんなそうよ」と楽観的な返答が多い。
2013年(64)
独居であることもあり、自分の日常は誰にも分からないので、自分でタウンページで調べた心療内科で相談してみることにする
診断
2013年(64)
相談した結果、長谷川式簡易知能評価スケールが19点で抗認知症薬を開始することになる
2013年(64)
不思議なことが起こる。定期的に受診していた心療内科の建物が消えてしまう。ないない、おかしいと思い心療内科に電話をすると、移転もしていないし、建物はありますと言われる
2013年(64)
そこで、大きい病院へ紹介状を書いてもらい、画像や血液検査をしに行く。若年性アルツハイマー型認知症の診断を受ける。「まだまだ、自分の人生がどこかにいってたまるか」と思う
2014年(65)
半年に一回受診をすると、グループホームを勧められる。やろうとする意欲があるのでまだ一人暮らしを続けている
2019年(71)
薬に敏感になり、レビー小体型認知症の診断を受ける
人生・生活の喜び
1
今は諦めてしまった喜び
クラシックやコンサート、絵画などの芸術鑑賞。今はまとまった時間が取れずなかなか行けないでいる
2
発症前後で変わらない喜び
数学
3
発症前後で変わらない喜び
人と会話をすること
4
発症後の喜び
昔のデイサービスの友達と夜の電話
5
発症後の喜び
デイサービスのスタッフや利用者の方との楽しい会話。医療・介護職に親切に応じていただき感謝している
今後やってみたいこと
自分流に自分にいいことをしようと思います。ミックス調味料を使わないという小さなことから、意思を伝えるというようなことまで。意思を伝えないことは、私はまだしたくないです。
生活課題
喜び
1
喜び
3 4 5
喜び
2
-
生活11分類生活課題DATA心身機能障害知恵
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並行して作業することができないことを自覚している
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ズボンのファスナーを上げ忘れる。外出先で注意してもらっている
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デイサービスのお風呂に靴を履いたまま入りにいく。靴を脱ぐことを忘れる
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洋服の裏表を逆にして着替えることがある
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メイクをすることがだんだん面倒になりだしている。お年分のファンデーションはつけるようにしている
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服や部屋の整理・整頓がうまくできなくなる。やろうという気持ちはあるのだが、身体が伴わない
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食事の準備や皿洗いをしている時、よく手から滑り落ち、皿を割るようになる
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何をいつ買ったのか管理することが難しいので、冷蔵庫には賞味期限切れのものが増えるヘルパーさんが来て下さる日に、ヘルパーさんに賞味期限切れの物を探して処分してもらう
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食事の支度など、なかなか難しくなった(一人暮らしは他人の目がないので自分ではやっているつもり)
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次に何をどうしようかと考えている時間が無駄に多く、食事の準備がなかなか進まない。
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以前から料理は薄味ではあるが、自分が思うような味付けにならないことが増える
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異なるメーカーでもパッケージの色や形の特徴がほぼ同じで見分けがつきづらく、棚にぎっしり並び、目が泳ぐ
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不思議なほどに必要とするものが次々となくなる。1日中探しもので終わることもある交通ICカードは、外出時のヘルプカードのケースに入れておけば無くさない
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「なんで?」「どうして?」と叫びたくなる位、鍵が姿を消す
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掃除、片付けはどうしていいかわからず何箇所かに積み重ねられている
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いくつかの通帳の管理や、ATM操作が難しくなる。どれが印鑑の認印かの区別も難しい一つの金融機関にまとめる。自動振り込みを登録しておく。ATM操作手順メモ、「認印」メモをケースに貼る
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手押しのカートは商品を入れたままどこへでも置き忘れる。手持ちカゴを利用している
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買い物メモを作ってスーパーへ行くが、まだ買っていないものにチェックが入ったりうまく行かない
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レジの小銭の計算などで失敗し、周りのお客さんなどに「ご迷惑をかけてすみません」と謝る現金での支払いが難しくなり、カードで支払うようになる。慌てることも少しずつなくなった
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購入した商品の一部だけを袋に入れ、あとの買ったものをカゴに残して帰ってきてしまうこともある
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一人で通院することが難しい。朝出発したはずが病院への到着は昼になることもしばしばあるガイドヘルパーさんに同行を依頼する。空きがないときは、ヘルプカードを見せて周りの人に助けて頂いて進む
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自分の場合は、この病気になってから頭痛と耳鳴りが日常的にある
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訪問薬剤師にお薬カレンダーへ入れてもらい服薬忘れを防ぐが、眠剤を飲んだつもりが忘れ朝まで寝れない
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役所でのいろいろな手続きは自分自身でしているが、時間がかかりすぎで具合が悪くなる
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気を失うことがまれにあるが、一人暮らしのため、気を失ったか、どのくらい倒れたかを自分でわからない
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集中できないことが増える
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家族が当事者のできることを奪ってしまう様子をよく見かける(デイを2回変わり、いろんな家族に出会った)自分の意思を伝えていく
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何とか目的地へ行けても、帰りは自分の位置と目的地の位置関係がわからず混乱する。初めての場所は行けない
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信号の色や標識を見間違うことがでてくる。標識はわかりにくく感じる
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右と左が時々わからなくなるので、地図を読んで、それを片手に目的地へ行くことが難しくなる
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今の私は電車地下鉄を一人で使用することはできない。乗り越してみたり戻ったりと大変なことばかり起こるヘルプカードを首から下げ、いざ電車に乗り込んでみる(しかし、一人での遠出は不安である)
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切符の券売機の画面操作が煩雑なので、一人で使用することが難しい券売機の操作手順を書いたメモを必ず持つ。うまくできなかったらすぐに駅員さんを呼ぶ
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階段の下り、エスカレーターへ乗ることが難しくなる
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年賀状の宛先の住所を間違え、出したつもりが戻ってしまうようになったので、年賀状を出すことをやめた
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相談相手がいない。一人でどうしようもない時にはケアマネに相談をする
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認知症の診断を受けたことを知ると、ほとんどの友人は遠くへ行ってしまう
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常に一人なので、独り言が多くなった。「物」ともよく話すようになった
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言葉が出づらくなる。自分が伝えたい表現をスムーズに捕まえられない
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心がざわつくので人混みが苦手である
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ガラケーが壊れたためスマホに買い替えたが使いこなすことができず、結局電話とメール機能だけ使用する(同居人がいたなら、思い切って買い換えたスマホの使い方を教えてもらえるのにな)
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電話での打ち合わせや約束事は、電話を切るとすぐに記憶から抜けていきやすい電話での打ち合わせ、約束事は必ず事細かにメモを取り、電話が終わった後文章に直して残す
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自分の趣味をしようにもロスタイムが多く、必要なことをするだけで時間がいたずらに過ぎて余裕がなくなる
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一人で散歩をすると迷路巡りが始まるので出かけなくなる
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表現したいことを文字にはまだできるが、誤字脱字が多く、ため息をつくこともしばしばある
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何となく文字は浮かんではくるが、書き始めると怪しく、声に発した言葉と書くものが違うことがある文字を正しく書くために、声に出して書くようにはしている(声に発しても書くものが違うことがあるが)
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書きたい文字がたまにわからなくなる毎日文章は書いているので、わからない文字は辞典で調べている
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本を読んでも内容が記憶に残らないので、読まなくなる
心身機能障害
社会へのメッセージ
病気になって、病気と共に生きることになりました。病気だから仕方ないけど、その中でなんとか失敗を怖がらずに生きようと闘っています。
自分一人だから一生懸命頑張って努力しています。
日常の何をした、誰と何を話したと言うことをノートにつけています。次にその人に会うときにはそのノートを何十回も読み返してから会うようにしています。おかげで睡眠不足(毎日3時間以下)ですが、その人と会話ができるんです。そうすると、生きていることを実感できます。
考える部分が少なくなるけど、人生を生きたって言う思いを日々したい。だからそんな気持ちで生きているんです。
一日は失敗の連続です。失敗しても自分で考えて頑張ればできるので、どんなに大変なことでも自分のためにやるようにしています。捨てたくないですし、残っているものをつなぎとめておきたいので、その日その日が精一杯で、日々その積み重ねです。